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……起きないから奇跡って言うんですよ ◆HlLdWe.oBM 「魔力が足りないなら私の命をやる……命でも足りないんやったらこの世界をやる……」 月と星の光が薄らいできた空の下、木々と土塊だけが存在する荒野で声がする。 「だから……だから……もう1度だけ……もう1度だけ家族を取り戻すチャンスをくれや……」 必死に嘆願する少女の声がする。 「闇の書は主に絶大な力を与えてくれるんやろ?」 むしろ呼びかけに近いか。 「ジュエルシードは願いを叶える石なんやろ?」 どちらにせよ少女は心から願う。 「だったらその力で私の願いを叶えてや……」 ずっと叶えたいと思い続けてきた望みに祈りを込めて。 「その為やったら私の命も、この世界もなんもいらん……」 その望みを叶えるための力を欲するが故に。 「ヴィータを……シグナムを……シャマルを……ザフィーラを……そしてリインを取り戻したいんや……!」 傷だらけの少女は――八神はやては――12年前のような奇跡が起きる事を願った。 「応えてや……頼む……!」 そして――。 「な……」 最後の希望は――。 「なんでや………」 祈りの果ての奇跡は――。 「なんで、私の願いに応えてくれへんのや…………!!!!」 少女に何も齎さなかった。 それもそのはずだろう。 ジュエルシードが「願いが叶う宝石」と言われたところで、その本質は次元干渉型エネルギー結晶体に過ぎない。 その内包するエネルギーは現在空っぽだ。 これでは奇跡も何も起きるはずがない。 ちなみにはやて自身に魔力が残っていれば結果は違ったかもしれないが、今の枯渇した状態では無理な話だ。 「そんな、ここで終わりなんか……私にはまだやらなあかん事がッ――!?」 だが嘆く暇もなくはやての下に死神の鎌の如く放たれた紫の光線が飛来した。 前触れなしで飛来したその光線は容赦なくはやての目の前にあった夜天の書とジュエルシードに着弾して跡形もなく破壊した。 それをはやては爆発の余波で後ろに吹き飛ばされながら信じられない面持ちで見ていた。 そして地面を転がって止まった先で今まで自分がいた方に顔を向けたはやての目にそれは飛び込んできた。 自分の命を奪うであろう日の出を背負った白銀と黒の復讐者が掲げる銃口を。 「……柊、かがみ」 「見つけたわよ、八神はやて」 【2日目 早朝】 【現在地 C-8】 【八神はやて(StS)@魔法少女リリカルなのはFINAL WARS】 【状態】全身にダメージ(中)、疲労(極大)、魔力消費(極大)、右手欠損(出血中)、貧血 【装備】なし 【道具】なし 【思考】 基本:プレシアの持っている技術を手に入れる。 1.あ、あぁ、そんな……。 2.自分を含めた全てを捨ててでも家族を取り戻す。 【備考】 ※この会場内の守護騎士に心の底から優しくするのは自分の本当の家族に対する裏切りだと思っています。 ※キングはプレシアから殺し合いを促進させる役割を与えられていると考えています(同時に携帯にも何かあると思っています)。 ※出血が激しい為、すぐにでも手当てをしなければ命に関わります。 【柊かがみ@なの☆すた】 【状態】疲労(大)、全身ダメージ(大)、つかさとこなたの死への悲しみ、はやてへの強い怒り、デルタに変身中 【装備】とがめの着物(上着のみ)@小話メドレー、デルタギア一式@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】なし 【思考】 基本:はやてを殺す。 1.はやてを殺す。 2.1が叶えば、みんなに身を委ねる。 【備考】 ※一部の参加者やそれに関する知識が消されています(たびかさなる心身に対するショックで思い出す可能性があります)。 ※デルタギアを装着した事により電気を放つ能力を得ました。 ※第4回放送を聞き逃しました。その為、放送の異変に気付いていません。 ※デルタのシステムと完全に同調しました。 【全体備考】 ※夜天の書@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ジュエルシード@魔法少女リリカルなのは、は跡形もなく破壊されました。 Back 抱えしP/DAYBREAK S BELL 時系列順で読む Next Zに繋がる物語/白銀の堕天使 Back 抱えしP/DAYBREAK S BELL 投下順で読む Next Zに繋がる物語/白銀の堕天使 Back 抱えしP/DAYBREAK S BELL 八神はやて(StS) Next Zに繋がる物語/白銀の堕天使 Back 戻らないD/柊かがみ 柊かがみ Next Zに繋がる物語/白銀の堕天使
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第一回放送までの死者 時間 死亡者 死亡話 殺害者 死因 最後の言葉 深夜 志村新八 008 僕の修羅が騒ぐ ロロ・ランペルージ 射殺 「…………え」 深夜 白鳥司 0015 曖昧3メートル 柊かがみ 射殺 「ひい、らぎ、なんで」 深夜 前原圭一 0023 嘆きノ森 森の音楽家クラムベリー 殴殺 「ぐ……」 深夜 小早川ゆたか 0027 Unlucky☆Star 針目縫 失血死 (助けて……) 深夜 アインハルト・ストラトス 033 血染めのアインハルト DIO 刺殺 「――拳ッ、っ?」 深夜 満艦飾マコ 0036 刹那に散る メルヴィル 射殺 「盛り上がってきたぁ!!」 深夜 ステラ・ヴァーミリオン 0036 刹那に散る メルヴィル 射殺 「ごめん……一輝」 黎明 ルシード・グランセニック 0045 だから今打ち破るのさ エスデス 不明(恐らく刺殺) 「――かかって来いよクソ軍人。それで出来れば、とっととゴミみたいに死んでくれ」 黎明 竜宮レナ 0051 青い炎 吉良吉影 爆殺 「あなた、誰なんですか?」 黎明 ペチカ 0057 魂を貪る月(前編) ヴィルヘルム・エーレンブルグ 刺殺 「行って――チトセさん!」 黎明 神楽 0059 狂犬挽歌 アスラ・ザ・デッドエンド 殴殺 「オォオォォォォォオオオオオオオアアアアア!!!!」 早朝 鬼龍院皐月 0076 ファントムブラッド DIO 刺殺 (後は任せた――フーカ、ジョセフ、そして……流子よ) 早朝 クランテイル 0085 Magica 森の音楽家クラムベリー 殴殺 「……刀華に、これを」 早朝 ルサルカ・シュヴェーゲリン 0086 狂騒、闇夜に轟いて(後編) ゼファー・コールレイン 斬殺 「こんな――こんなところでェェッ!!!」 早朝 クロメ 0086 狂騒、闇夜に轟いて(後編) ゼファー・コールレイン 頭部破壊 「……ナタラ? どうし」 【残り44人】 殺害数 順位 該当者 人数 このキャラに殺された人 生存状況 スタンス 1位 DIO 2人 アインハルト・ストラトス、鬼龍院皐月 生存 マーダー(無差別) メルヴィル 2人 満艦飾マコ、ステラ・ヴァーミリオン 生存 マーダー(奉仕) 森の音楽家クラムベリー 2人 前原圭一、クランテイル 生存 ジョーカー ゼファー・コールレイン 2人 ルサルカ・シュヴェーゲリン、クロメ 生存 危険対主催 4位 ロロ・ランペルージ 1人 志村新八 生存 マーダー(奉仕) 柊かがみ 1人 白鳥司 生存 マーダー(奉仕) 針目縫 1人 小早川ゆたか 生存 マーダー(無差別) エスデス 1人 ルシード・グランセニック 生存 危険対主催 吉良吉影 1人 竜宮レナ 生存 マーダー(ステルス) ヴィルヘルム・エーレンブルグ 1人 ペチカ 生存 マーダー(無差別) アスラ・ザ・デッドエンド 1人 神楽 生存 マーダー(強者限定)
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泉こなた 名称 会得条件 効果 柊つかさ 名称 会得条件 効果 柊かがみ 名称 会得条件 効果 高良みゆき 名称 会得条件 効果 めがねめがね…… パラメータUP 相手の回答を無効にする 小早川ゆたか 名称 会得条件 効果 岩崎みなみ 名称 会得条件 効果 とっつき辛い・・・・・・かも パラメータUP 相手の回答を無効にする パトリシア=マーティン 名称 会得条件 効果 黒井ななこ 名称 会得条件 効果 甘い球はホームランや! パラメータUP 相手の回答を無効にする 成実ゆい 名称 会得条件 効果 宮河ひなた 名称 会得条件 効果 マイペースタイム 最初から習得済み 相手の回答を無効にする
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湖につつまれて ◆G/G2J7hV9Y ☆ ☆ ☆ 湖や ゴマモン飛び込む 水の音 (詠み人知らず) ――――ぽちゃん。 ☆ ☆ ☆ ……ゴマモンは、そしてようやく僅かながらに理性を取り戻した。 全身を包む冷たい水が、疲れた身体に心地よい。 浮力に体重を支えられ、酷使しきった腕からやっと力が抜ける。 元より地上での行動にはやや不向きな身体だが、水中はまさしく彼のためのフィールド。 コンクリートの上、延々身体を引き摺って出来た擦り傷が染みるが、その痛みさえも今は有難い。 そう。 ひたすらに謝罪しつつ、漠然と「誰か」を探していた彼は、自然と島の中央に向かって進んでいたのだった。 しかし、市街地を這うようにして抜けた先、島の中心にあったのは、大きな湖。 そして湖畔に張り出すように作られていた遊歩道から、ロクに前も見ずに這い進んだ挙句……転落した。 落ちた先がそれなりの深さのある湖だったから良かったようなものの、一歩間違えれば大怪我だ。 控えめに言っても、運が良かったと言えるだろう。 彼自身は知る由もないが…… ここまでほとんど誰にも会わずにこれたことも、相当稀な偶然と言っていいだろう。 それを「幸運」と呼ぶべきか、「不運」と呼ぶべきかは判断が分かれるだろうが…… これが例えば、近くの百貨店の方に向かってしまっていたら、そこで戦闘に巻き込まれていた可能性が高い。 ラッドはゴマモンのことを見逃してくれたが、果たして相羽シンヤはどういう判断をしたことか。 それに彼らがゴマモンに干渉しなかったとしても、近くにいればその余波に巻き込まれたに違いないのだ。 だがしかし一方で、柊つかさや6/、園崎魅音と遭遇し、保護されていた可能性もあるわけで…… 「黒くない」つかさとの遭遇は、彼の魂に真の救いをもたらした可能性もあったわけで……。 道1つ違えただけで彼らと遭遇しそびれたゴマモンは、やっぱり不運なのかもしれない。 ともかく結果として、ゴマモンはラッドに「見逃された」後、誰とも出会うことなく、こうして湖の中にいた。 落下した直後こそ、混乱のままに無駄に手足をばたつかせもしたが……。 やがて落ち着いた彼は、ゆったりとその身を湖に浮かべ、天を仰ぐ。 呆然と天を仰いで、誰にともなく呟く。 「ごめんなさい……ごめん、な、さい……」 だが、「誰に」謝れば許して貰えるのだろう。 この新しい殺し合いの場には、かがみとつかさもいて―― でも、その2人は自分の知っている2人ではない可能性があって。 許されなければならない。 許されなければならない。 許されなければならない。 自分が殺してしまったかがみについて、許して貰わねばならない。 でも――誰に? その「誰か」を探さねば、と強迫観念に駆られて「人のいそうな場所」……島の中心までやってきたが。 辿り着いて気がつけば、そこは人などいるはずのない、静かな湖面があるばかり。 彼は顔だけを水面から出して、溜息をつく。 溜息と共に、一人呟く。 「これから……どうしよう……」 「もし、そこなおぬし」 「!?」 独り言だった、はずだった。しかしそこに唐突にかけられたのは、聞き慣れぬ声。 慌ててゴマモンは周囲を見回す。 誰か近くにいるのだろうか。「誰か」が岸辺から声をかけたのだろうか。 その「誰か」はゴマモンが謝るべき「誰か」だろうか。 そう思って湖畔を振り返るが、しかし誰も居ない。 やはり幻聴か、と思ったその時。 「えーい無視するでない。おぬしとて人ならざる身、人間ばかり探してどうする」 「……え?」 「こっちじゃ、こっち」 背後から。 そう、湖の側から背を叩かれ、振り返ったそこには。 1匹の蛙が……「蛙」、としか呼びようのない生き物が。 ゴマモンと同じように、水面から顔だけを出し、佇んでいた。 ☆ ☆ ☆ 深く考えることなく島の中央、無人の湖に到達してしまったのは、かえるとて同じだった。 人を探すため、という目的も、また同じ。 水中を己の得意フィールドとする、という点も同様。 だから、その湖にゴマモンが転落した際、真っ先にその存在に気づいたのも、かえるだった。 「しかしゴマモンどん、と申したか。 どこの絵巻物の出かは知らぬが、海獣の身で水に落ちて恐慌(ぱにっく)とは、らしからぬざまだの」 「……?? あ、ご、ごめんなさい……」 絵巻物?というかえるの言葉に少し首を傾げつつ、『ゴマモン』と名乗った獣は頭を下げる。 水に落下したからパニックに陥った、というかえるの推測は、実のところ正しくはない。 陸を貼っていた時からゴマモンはパニック状態で、水に落ちてかえって冷静になったくらいなのだ。 だがそんな事情を知らぬかえるは、うむ、と鷹揚に頷くだけだった。 ちなみに2人とも、揃って湖の中央に向かって泳ぎながらの会話である。 つい先ほど、湖岸よりさほど離れてない市街地で、派手な爆発があったためである―― 実のところそれは、ラッドとテッカマンエビルの激突の余波だったのだが、2人、いや2匹の知る所ではなく。 とりあえず今は岸辺から離れた方が良さそうだ、と野生の勘で判断しただけのことだった。 「さて、ところでゴマモンどん。ちょいと聞きたいことがある」 「な、なんだい? かえる……でいいのかな?」 「いやなに、大したことではないのだが。私には大事な探し人がおってだなあ」 並んで泳ぎながら、かえるは改めて話を切り出す。 ノリと勢いで行動しがちな彼ではあったが、しかし学習能力がないわけではない。愚かというわけでもない。 事実、「前の殺し合い」においては、強大な死亡フラグを事前に察知し逃げるような知恵も見せている。 ゆえに、先の衝撃のアルベルトとの遭遇の経験を生かし、まずは情報を、と思ったわけだった。 一方的にこちらだけが喋った挙句に弾き飛ばされるような事が続くようでは、『嫁』との合流もままならない。 見たところ、この『ゴマモン』という海獣。人は良さそうだ。 いや、それは生来の性格というより、激しい消耗によるものだろうか? 向こうの事情は分からぬが、しかし、今なら聞けば何でも答えてくれそうな雰囲気がある。 しめしめこれは儲けものだのお、と、かえるはそのコミカルな顔に悪人じみた笑みを一瞬だけ浮かべて。 「……っと、いかんいかん。顔に出てしまったか」 「??」 「ええい、ともあれ。私の『嫁』になってくれる予定の、大事な人物なのだ。 で、ひょっとしたらゴマモンどんが会ってはおらぬかと思ってなあ」 そしてかえるは、深く考えることもせずに『その名前』を言ってしまった。 気づけと言う方が酷だろう。 予想しろという方が無理だろう。 しかしそれでも、よりにもよって、としか言いようのない『この相手』に、『その名前』を言ってしまった。 はっきりと、言ってしまった。 「柊かがみ、通称『かがみん』と申すのだが」 ☆ ☆ ☆ 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 「ちょっ、どうしたのだ、ゴマモンどん!?」 『その名前』を聞いて、たっぷり5秒もの沈黙の後。 いきなり謝罪の言葉が、機関銃のように放たれる。 対するかえるは、面食らう。 それはそうだ。いきなり「ごめんなさい」と言われても何のことやら訳が分からない。 何故、と聞こうと口を開こうとした、その瞬間。 「ごめんなさい……オイラ……かがみを、殺しちまった……」 「――!?」 唐突な告白に、かえるの思考が凍りつく。 かがみを……かえるの嫁である柊かがみを、殺した、だって? 「前の殺し合い」で一度は1人は死なれて落ち込んで、でも「この殺し合い」で名前を確認できた「柊かがみ」。 それを……殺した? この人畜無害そうな海獣・ゴマモンが? 本当に? 意味が分からない。 意味など、分かりたくもない。 「オイラがっ……か、かがみの、胸を、貫い、て……! ……ッ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 だが嗚呼、悲しいかな。 かえるは決して愚かというわけでもない。 ノリと勢いで行動しがちな彼ではあったが、しかし理解力がないわけではない。洞察力がないわけdもない。 目の前でひたすらに謝罪しつつ震えるゴマモンが、嘘をつける精神状態にないことも、見抜けてしまった。 ほんとうなのだ、と、分かってしまった。 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんな…………!?」 そして、永遠に続くかと思えたゴマモンの謝罪の言葉の、その途中で。 かえるの視界が、真っ赤に染まった。 ☆ ☆ ☆ まっすぐな脇差でさみしい (詠み人知らず) ――――さくっ。 ☆ ☆ ☆ 「――謝って済むと思うなこの若造がぁぁぁぁぁぁぁくぁwせdrftgyふじこlp;@:」 「…………! …………!!」 水中はかえるとゴマモンにとって、本来のステージだ。下手すれば地上よりも得意な領域だ。 ゆえにかえるが腰に差していた脇差も、水の抵抗をほとんど感じさせない動きで抜刀され。 まっすぐに水を切って、鋭い突きが繰り出される。 「おぬしが、かがみんを! かがみんを! かがみんを! おぬしなんぞがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 激情に駆られて、かえるは脇差を振るう。 いくらかえるが水中行動に長けていても、やはり抵抗の中で斬りつけるのは容易ではない。ゆえに突く。 とにかく、突く。 ざくざくざくざくざく。 刺しては引き抜き 刺しては引き抜き 刺しては引き抜き 刺しては引き抜き 刺しては引き抜き。 ゴマモンの頭、腕、胸、腹、腰、後ろ足。 ありとあらゆる所に、脇差が突き立てられる。 刺されて抜かれた衝撃で、水中のゴマモンの身体はクルクル回り、次の突きがまったく違う所に命中する。 「これはかがみんの分! これもかがみんの分! これもかがみんの分! これもかがみんの分! これも、これも、これも、これも! 全部、かがみんの分だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 ぽきん。 十数回目の突きが、硬い骨にでも刺さったのか。 その先端をゴマモンの身体に残したまま、脇差の刀身が中途から折れる。 かえるの剣技とて素人とそう大差ないし、この脇差とて大した名刀でもない。 だからこうなるのも当然で、しかし、刀が折れてもかえるの怒りは収まらない。 短くなった脇差を逆手に持ち替え、なおもゴマモンを滅多刺しにする。 既にボロボロの、既に無傷な所など残っていない身体に、なおも振り下ろし続ける。 「おぬしが! どれだけ! 謝ろうとも! 私は! 決して! おぬしを! 許しは! しないっ! 死んでも決して許さんぞゴマモォォォォォォォォォォォォォンッ!!」 ひたすら許しを請うていたゴマモンに対する、完全否定の叫び。 だが、ゴマモンは既に、その声を聞いてはいなかった。 とうに、聞ける状態ではなかった。 ゴマモンは、かえるの放った最初の突きに喉を貫かれ、とっくの昔に、絶命していたのだった。 ☆ ☆ ☆ かがみんや 嗚呼かがみんや かがみんや (かえる) ――――ぷかぁーっ。 ☆ ☆ ☆ 静けさを取り戻した湖に、1つの塊が静かに浮いていた。 ゴマモン――と呼ばれたデジモンの、成れの果て。 空が白みはじめる。もう間もなく朝日が顔を出し、世界を光に満たすのだろう。 鏡のように静かな湖面にも、僅かに水のながれがある。 死によって全てから開放されたその死体は、やがてゆっくりと流されていき、そして、見えなくなった。 【ゴマモン@ニコニコ動画バトルロワイアル 死亡】 ☆ ☆ ☆ ぺたり。ぺたり。ぺた……どさっ。 どこをどう泳いだのか、かえる自身も覚えてはいなかったが…… 湖から這い上がり、2歩、3歩と進んだ所で、彼は力尽きたように倒れこんだ。 「かがみん……うう……かが、みん……」 激情の嵐が通り過ぎ、愛する嫁の『カタキ』を討った後に訪れたのは。 ぽっかりと穴の開いたような、空虚さだけだった。 今頃になって思い出したかのように、激しい疲労感がかえるの肩に圧し掛かる。 かえるは、未だに気づかない。 ゴマモンが「柊かがみを殺した」のが、「ゴマモンにとっての前の殺し合い」の中だったことに。 ゴマモンが殺した「柊かがみ」が、「この殺し合い」に呼ばれた「柊かがみ」とは「別人」であることに。 かえるは、とうとう気づかない。 「復讐とは、虚しいものなのだなあ……」 かえるはそして倒れたまま小さく呟くと、静かにその目を閉じた。 意識が遠のく。無防備な姿のまま、眠りとも気絶ともつかぬ闇の中に落ちていく。 でも、もう誰に殺されても構わない。このまま目覚めなくてもいい。 そんな、捨て鉢な気持ちだった。 ☆ ☆ ☆ ――それは、意識を手放す寸前だったのか、それとも手放した直後だったのか。 かえるは、夢を見た。 愛しのかがみんと、いちゃいちゃする夢だ。 夢の中で、かがみはかえるに非常に感謝をしているようだった。 心の底から、かえるに惚れている様子だった。 そして同時に、深い心の傷を負っているようでもあった。 大丈夫かい。そう優しく慰めるかえるに、かがみはそれでも気丈に笑うのだった。 『 ……うん、大丈夫よ。 かえるが頑張って『生き返らせて』くれたこの命、大事に使って大いに楽しまないとね。 でないと、『あの殺し合い』で死んじゃったつかさたちも、浮かばれないもの 』 ああ……そんな設定もあったね。かえるは思い出す。 優勝者の権利。 どんな願いでも叶う。 たった1つだけ叶う。 ならば、死者を蘇らせることも、また――。 ……って、あれ? これ、ちゃんと覚えておいた方がよくね? まさか目が覚めたら全部忘れてるとかないよな? あ、そんなことを考えてるうちに、意識が、また……。 ☆ ☆ ☆ ロワに病んで 夢は二次嫁と かけめぐる (詠み人知らず) ――――朝日が、間もなく昇る。 【D-3/岸辺/1日目-早朝】 【かえる@オールジャンルバトルロワイアル】 [状態]:全身各所に裂傷。失意。疲労(小)。気絶。夢の中。 [装備]:和服 [持物]:デイパック、基本支給品一式、不明支給品x1 [方針/行動] 基本方針:優勝してかがみを蘇らせて添い遂げる? 0:かがみん……。 [備考] ※オールロワ140話「B-5周辺顛末記」より参加。 ※ゴマモンが「かがみを殺した」のはこの殺し合いの中だと誤解しています。 つまり、このロワ内で既に「柊かがみ」が死んでしまったと思い込んでいます。 [備考] D-4の湖に、折れた脇差が刺さったままの、ゴマモン@ニコロワ の惨殺死体が浮かんでいます。 水流の関係で、どこかの湖岸に流れ着く可能性があります。 あるいは3本ある川のどれかを下って流れていくかもしれません。海にまで到達するかもしれません。 074:Welcome to this crazy Time 投下順 076:夢のかけら 074:Welcome to this crazy Time 時系列順 076:夢のかけら 049:リバーワールド かえる 084:たった一人守れないで 生きてゆく甲斐がない 054:衰弱と不満 ゴマモン
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◆wYjszMXgAo 氏 ◆jIHhwnBJfg 氏 備考:267話以降からトリップが変更されました。 氏が手がけた作品 話数 タイトル 登場人物 203 全竜交渉(前編)全竜交渉(後編) 衛宮士郎、ラッド・ルッソ、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、明智健悟、菫川ねねね 211 The Incarnation of Devil(前編)The Incarnation of Devil(後編) 高嶺清麿、ラッド・ルッソ、相羽シンヤ、小早川ゆたか 215 マテリアル・パズル~神無~ スカー(傷の男) 219 Omegaの視界 未解封のハコニハ ギルガメッシュ、藤乃静留、ヴァッシュ・ザ・スタンピード 221 Death Lori病ん坊麻婆転機予報(前編)病ん坊麻婆転機予報(後編) 言峰綺礼、シータ、ニコラス・D・ウルフウッド、衝撃のアルベルト、柊かがみ 228 刻無―キズナ―(前編)刻無―キズナ― 零刻無―キズナ―(後編)刻無―キズナ― 零 完全版 ヴィラル、シャマル、高嶺清麿、小早川ゆたか、明智健悟、菫川ねねね、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 230 Rising Moon the Samurai & the Gunman(前編)Rising Moon the Samurai & the Gunman(後編) スパイク・スピーゲル、ビシャス、カレン・シュタットフェルト、ジン、ドモン・カッシュ 235 幻想のアヴァタール(前編)幻想のアヴァタール(後編) シータ、ニア、ガッシュ・ベル、カミナ 242 罪歌 阿鼻叫喚の狂った舞台(前編)罪歌 阿鼻叫喚の狂った舞台(後編)ALBERT THE IMPACTR 衝撃のアルベルト、柊かがみ、結城奈緒 251 邪ノ嗤フ刻-オニノワラウコロ-あばよ、ダチ公(前編)あばよ、ダチ公(後編) ビクトリーム、ガッシュ・ベル、カミナ、ニア、東方不敗 256 空の上のおもちゃ(前編)空の上のおもちゃ(後編) 怒涛のチミルフ、鴇羽舞衣、ジン、ギルガメッシュ 261 第五回放送 ロージェノム 267 No Man s Land -はるか時の彼方-No Man s Land -まだ見ぬ 遠き場所で-No Man s Land -唄い続けられる-三獅村祭No Man s Land -同じ人類のうた- ニコラス・D・ウルフウッド、チミルフ、東方不敗 外伝 SPIRAL ALIVE ロージェノム、アディーネ、シトマンドラ、ロニー・スキアート……etc 登場させたキャラ 2回 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、ギルガメッシュ、ラッド・ルッソ、カミナ、ニア、柊かがみ、小早川ゆたか、東方不敗 明智健悟、ガッシュ・ベル、高嶺清麿、シータ、菫川ねねね、衝撃のアルベルト、ニコラス・D・ウルフウッド、ジン、怒涛のチミルフ 1回 シャマル、衛宮士郎、言峰綺礼、スカー(傷の男)、ヴィラル、、カレン・シュタットフェルト スパイク・スピーゲル、ビシャス、ドモン・カッシュ、ビクトリーム、鴇羽舞衣、藤乃静留、結城奈緒、 ヴァッシュ・ザ・スタンピード、相羽シンヤ、ロージェノム 作品に寄せられた感想 予約から書き上げるまでのスピードがハンンパじゃないお方。早いだけではなく文章力もあって今後の活躍が非常に期待される -- 名無しさん (2008-02-24 20 46 56) Mr.麻婆。凄まじい料理描写に世界が泣いた。 -- 名無しさん (2008-03-01 23 27 37) テッカマンキラー、変態王、くすくすシータなど2ndでの新しいキャラ属性を生み出した書き手。 -- 名無しさん (2008-03-21 20 02 59) 原作のセリフやシーンの応用がうまい。また、予想の斜め上の展開を得意とする。個人的に大ファン -- 名無しさん (2008-05-07 11 25 31) 繰り出される一球一球が、予想の斜め上をワープしている人w要するに全然先が読めない。また文章力もあり普通に面白い -- 名無しさん (2008-06-12 21 27 14) 破天荒、驚天動地という言葉がこれほど似合う方もいないだろう。まさにその作風はロワ界のびっくり箱とも言えるものであり、大きく、ド派手に状況を動かす事に長けている。時にそれが行き過ぎてしまう事もあるのはご愛嬌か。変化球に定評のあるアニ2らしい書き手さんと言えるかもしれない。しかし「邪ノ嗤フ刻-オニノワラウコロ-/あばよ、ダチ公」で見せた超王道の熱血展開のように、非常に広い作風と描写力を持っている事も見逃せない。 -- 名無し (2008-09-22 16 57 15) 名前 コメント
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タイトルは勝手につけてあるものもあります。 ここにないカップリングはその他に追加してください。 ※編集者が途中参加のために中途半端なところから始めてしまっているものもあります 企画作品 作者別目次 泉こなたの長編 柊かがみの長編 柊つかさの長編 高良みゆきの長編 小早川ゆたかの長編 岩崎みなみの長編 日下部みさおの長編 田村ひよりの長編 峰岸あやのの長編 黒井ななこの長編 ホモネタ(古泉など)長編 涼宮ハルヒの長編 朝比奈みくるの長編 長門有希の長編 朝倉涼子の長編 シャミセンの長編 その他、多人数長編 未完作品
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トップページ テンプレ Master ダース・ベーダー Sub Master みるく茶 春風青葉 Member 暴闘牛 閃光龍 シャラープ ティンセル Noriko☆ †疾風† †クロフォード† ☆放浪者マ~坊☆ 愁一 愁― オーティスネイト 卯月椎羅 公孫龍 ロストルーン *柊かがみ kano* HISA-NO >枯葉< 小林清華 *ももちゃ* 深名瀬 =零= ***紅葉*** ♪ナミネ♪ シアネーゼ ヴィレアローゼ 卯月誠 マプチェ 森次郎 †ジェクト† 夏風育葉 Lavia 碧夷 シイナ・ユア 湊祈 夢梛 紅深 棘巫女 りぃ** ひゅん** ここを編集
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イギリスの時間で真夜中の12時のこと、再びあの放送が聞こえてきた。 きーんこーんかーんこーん。(口でいいました) 「というわけでそろそろ第7回放送に入るわね。 それと皆さん初めまして草薙素子です。まぁ気軽に少佐と呼んでもいいわよ。 皆のおかげでこの殺し合いも二日目に突入しましたね。 前置きはここまでにして早速死者の発表をやらせてもらうわよ。 前田慶次、ジョースター郷、キーボードクラッシャー、ガノトトス、刹那・F・セイエイ、ロックオン・ストラトス、アレルヤ・パプティズム、ティエリア・アーデ 大川平次渦正、流石兄弟兄者、スピン、山田伝蔵、ミカエル、土井半助、ラウ・ル・クルーゼ、ドロロ兵長、黒沢翔、柊かがみ、ハクオロ、アツコ、園崎詩音、日向冬樹、 明智光秀、名無し、ユーゼス・ゴッツォ、野比玉子、キョン子、ゆっくり霊夢、フランケン、ディアボロ、タケシ、スパイダーマン、素晴らしきヒィッツカルド、桐山和雄、 ドットーレ、江田島平八、ジノ・ヴァインベルグ、513、ルーファウス、トキ、美空ナオミ、波野ノリスケ、野比のび助、ゴルゴ13、ゆっくり魔理沙、アニマル谷口、南春香、 風間トオル、柊かがみ、ビートたけし、野村、タケシ、野比玉子、ロックマン、野比のび太、小トトロ、ジャイ子、ジャイアン、汚物は消毒だのモヒカン、メガトロン、ブッチャー、 デビルサターン6、デスブレン、妖魔ゲモン、巴武蔵、大量のビリリダマ、大量のマルマイン、シックス、電気ウナギ、タケシ、ジノ・ヴァインベルグ、ディアボロ、513、カツラ、ムックル、 吉良健作、やわらか戦車部隊、564、氷河魔人、もょもと、避難所の210、しまっちゃうおじさん、風間トオル、野比玉子、もょもと、うちはイタチ、避難所の759、範馬刃牙、虫食い、ねずみ男、 根津見、プーチンと女化の人、ジノ・ヴァインベルグ、シマリス、ハム太郎、ベーグル・ココ、ナクト・ラグナード、火炎放射器男、雨蜘蛛、テラカオス、ランサー、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、 サハギン、クロノサウルス、ディアボロ、哀川潤、クレア・スタンフィールド、一方通行、ヤズマット、野比玉子、ガッシュ・ベル、ラクシャータ、零崎一織、かぐや姫、ユーフェミア・聖天八極式、 ゴーレム、タルカス、カイオウ、豪鬼…以上。 前回の放送からの死者はなんと121名、大量虐殺を禁止してるのによくもまぁこんな死者がでるわね。 噂には聞いてたけど驚いたわ。 あぁそういえば大量虐殺の禁止について私から言うことがあるわ。 前回ラプゾーンとかいう主催の一員だった人が6人以上は大量虐殺ということにすると言ってたんだけど… 今からそういう線引きはなしにするわ。そんなのはカオスロワっぽくないしね。 何人殺したら大量虐殺になるのとかはそれぞれ各自で決めて頂戴。 でもまぁ2桁越したら間違いなく大量虐殺とみなされるでしょうから注意してね。 あぁそれと野比玉子、ディアボロ、タケシ、ジノ・ヴァインベルグ、513、柊かがみ 以上の6名はいくら殺してもカウントされないから大丈夫よ。 どうしても殺意を抑えられない人は上の6名を大量虐殺するように。 でもあまり自重しないと怖いお兄さんが粛清してくるから注意しましょうね。 それじゃ禁止行動について廃止と追加を発表致します。 まずは『戦闘介入の禁止』を廃止しますね。 廃止になるのがはやいけど、やっぱ殺し合いは乱入があってこそよね。 そして二つくらい禁止行動を追加しておくわ。 まずは『睡眠の禁止』つまり寝たら首輪爆発ということね。 寝たふりとか、気絶は含まないからご安心を。 そういえば集団で行動している参加者が多いわね。というわけで『見捨て逃亡の禁止』を追加するわ。 つまり仲間を見捨てて逃げたら首輪爆発ということよ。やっぱり仲間を見捨てるのはよくないわね。 ただ合意の上で見捨てるのは大丈夫です。例えば「ここは俺が食い止めるから逃げるんだー」みたいなね。 これらの禁止行動を会場全体に設けます。 もちろんこの殺し合いは何でもありなので、これらの禁止行動を色々工夫して無視するのは結構よ。 それと首輪を解除していい気になってる参加者もいるようだけれどこれはカオスクオリティでどうにでもなるからね。 まぁとどのつまり な ん で も あ り ということで。 それじゃまた次の放送で会いましょう。」 【二日目・0時30分/主催本部】
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【第16話 再会】 その日の無菌室も真っ暗闇のなかにあった。 テレビの明かりだけで照らされたこなたはベッドの上に膝を抱えてひたすらアニマックスを見続けている。 突然入口のドアが開く。 「!!」 こなたは貝のように大急ぎで布団の中にもぐりこむ。 「な、なんですか、入らないでください……殺される……」 こなたは片手だけ出してナースコールのボタンをさぐる。 何度も何度も押すが、返事がない。 「残念ね」 そこにいたのはかがみだった。 「あらあら、フ……そんなものは、邪魔だと思わない?」 ボタンを奪い取る。 「……!」 地震のようにグラグラ震える布団。 かがみはテレビの明かりを反射させた妖しい瞳で見下ろす。 「あら、何を、そんなに怖がってるの……これからは、私達だけの世界を作るのよ」 「助けて、助けて……先生、看護師さん……!!」 「もう来ないわ。私が殺しちゃった。邪魔だし」 「うそ!!うそつかないで!!先生!!先生!!」 「病院って、意外と薬品管理が甘いのね。びっくりしちゃったあ……。和歌山カレー事件って知ってる? まああんたは自分の過去の記憶すらそもそもないけど……」 「くるしい……だれか」 無菌室の外からうめき声が聞こえ出す。。 ドン、ドン、ドンと壁を叩く音。爪で壁紙をこする音 「ぐがああ、ぐぐぐるぐ……」 「心臓マッサージを……」 バタバタと人が走り回る音。 「解毒剤を……誰か……けいさつ……けいさつ……」 廊下から唸り声と悲鳴が聞こえてくる。 「嘔吐や吐血で外は地獄絵よ。そこらじゅうにお医者さんやら患者やらが倒れてるわ。完全密閉の無菌室じゃわからないだろうけど」 グアーッ!という唸り声が聞こえた。 1,2,3,4……という心臓マッサージの掛け声が重なる。 「ねえ、これからは、私達だけしかいないのよ。私はもう18で、少年法適用年齢外だから死刑なのよ。……だからここで、最期まで、一緒に……」 かがみは薬品の入ったアンプルを光らせる。 「やめてください、お願いします、どうか」 「ねえ、あんた、自分が死んだほうがいい?」 「いやです!!」 「……いっそ死んじゃったほうが幸せということはない?」 「死にたくないです」 「……ほんと?」 「ほんとです!!助けて!!助けてください!!」 かがみの眼から妖しい光が消えた。 カーテンを全開し、電気をつけた。 「おめでとう!!!!」 面会用窓の向こうに、そうじろう、つかさ、ゆたか、成実姉さん、黒井先生、みゆき、みさおなどが全員勢揃いで並んでいた。 みんな笑顔で、一斉に拍手をはじめる。 「おめでとう」 「おめでとう」 「おめでとう」 「おめでとー」 「おめでとうさん」 「おめでとうございます」 「よっおめでと、ちびっこ」 祝い言葉がつづく。 こなたはあっけにとられた顔でその様子を眺めていた。 「おめでと」 かがみは笑顔でこなたの肩をたたいた。 「おめでと」 もう一回、今度はやさしくたたく。 「なんですか?……あなたたち、今私が見てるアニメの最終回のパクリをはじめるんですか?」 そのツッコミが全員にグサッと突き刺さる。 なんとか体勢を立て直す。 「いやー教員研修の救命講習の心臓マッサージの掛け声が初めて役に立ったわー」と黒井先生 「こんなところで病苦のうめき方が役に立つとは思いませんでした……」とゆたか 「いたた、爪が痛い……」とつかさは手をさする。 「うまく演技できるかどうか心配でした」とみゆき。 「つーか、柊のシナリオやばすぎ……医者まで抱きこんでさ。私叫び声で声枯れちゃったぞ」とみさお。 ガヤガヤ言いながらみんな無菌室の扉を大きく開けて中に入ってくる。 「そこのあなた、いけませんよ!!無断で無菌室に入ったら!!」とこなたが叫ぶ。 「医者曰く、白血球の数が増えたので今日から無菌室を出ていいそうだよ」 そうじろうはこなたのすぐ脇に立ち、にっこりと微笑む。 「誕生おめでとう、君の名前は『こなた』。 ようこそ、泉家へ。よく生まれてきてくれたね」 そうじろうは「寿」と書かれた引き出物をこなたに渡した。 「オレはお父さんだよ。これからよろしく。この世界にはたくさん楽しいことがある。これからたくさんそれを経験しような」 「……?」 こなたは引き出物を開く。 ……新作のエロゲであった。 「……気持ち悪い」 こなたの返答がグサリ!とそうじろうの胸に突き刺さる。 「あ、あはは、なあに、おまえもそのうち面白さがわかる。Fateは文学、クラナドは人生だということがきっと分かるさ。はは、あはは、はは……」 ひきつった顔でヒクヒク笑うそうじろう。 「……でも、絵がかわいい」 「そ、そうだろ!?かわいい子がいっぱい出てくるぞー。しかもあれやこれやとしてくれるんだ。たとえば……」 そうじろうはペラペラとフラグやら属性やら萌えの概念やら語り出したのだった。 「はじめまして!成実ゆいっていうよ。私はあなたのいとこのお姉さんだよ!ゆい姉さんって呼んでね。いやあ、とうとう私にも従妹ができたんだねえ」 ゆい姉さんはブンブンと手を振った。 「はじめまして。小早川ゆたかといいます。お姉ちゃんのいとこの妹だよ。ゆうちゃんって呼んでね」ゆたかは顔を赤くして照れくさそうに挨拶した。 「……なんで私生まれたばかりなのにもう従妹がいるの?」 こなたが怪訝そうな顔で突っ込んだ。 「はう……どうしよどうしよ」とあたふたするゆたか。 「そ、それはだね!!……この世界には、なぜか妹キャラというものがはじめから存在してだね……」とそうじろうが大慌てで必死に取り繕う。 「よー、どーも、はじめまして。ウチはあんたが通うことになる学校の担任、黒井ななこと言う者やっ」黒井先生がこなたに挨拶した。 「ウチの横にいるのは泉の同級生になる子たちや。どーもよろしゅーな♪」とつかさたちを指差した。 「あなた、初対面のくせになんでそんなに態度でかいんですか?しかもインチキ臭い関西弁だし」 「!!!ぐうっ……」黒井先生は拳を握り締めるも、必死に怒りをこらえる。 「と、とにかく、夜中にネトゲやると必ず会うから、よ、よろしうな……(怒)」 「はじめまして、柊つかさといいます。よろしくね」 「……よろしくおねがいします。つかささん」とこなた。 「つかさって、呼び捨てにしていいよ。ねえ、私はこなちゃんって呼んでいい?」 こなたはそれに答える前にジロジロとつかさの顔を眺め、かがみの顔と見比べた。 「まさか、双子?いや、ありえないですよね……まるで怪獣とひよこ」 「……あのな」とかがみのドスを聞かせた声 こなたは「ひいっ」とかがみから飛びのいたあと「うん、いいよ。……つかさ」と言った。 「高良みゆきです。はじめまして。よろしくおねがいします。『みゆきさん』って呼んでくださいね。困ったことがあったらなんでも質問してください」 「……初対面で、自分から『さん』づけしろって、……なんかあなたお金持ちっぽいし、スタイルもいいし、(糸目になって)ひょっとして威張ってるの?」 「え、え、あの、その……」 「まあいっか……その、メガネ……属性っていうんだっけ?それに免じるよ。んじゃよろしく。みゆきさん」 「は、はい……よろしくおねがいします」 「よっ、ちびっこ。私日下部みさおっていうんだ。よろしくなー」 こなた「(……ムカッ!!)」 「……うっ!しまった、初対面ってことなんだっけ……この呼び方じゃやべえよな……ごめんごめん」 こなた「背景になっちゃえ……」 「と、とりあえず、私のことはみさきちって呼んでくれよな。ちびっ……いやいやこなた」 かがみの番になった。 「次は私ね。私は柊かがみ。つかさの姉よ。よろしくね」 こなたはかがみを見ると顔が青ざめ、布団にもぐりこもうとした。 「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ」 「怪獣怖い……」 「そ、そんな……な、何言ってんのよ」 「あなたは出て行って、はやく……」 こなたは布団の中で丸くなって震える。 「怖い、怖い……」 かがみが手を触れようとすると、こなたはひっ!と声を上げビクリと震え、さらに小さく丸まった。 第17話:フラグへ続く コメントフォーム 名前 コメント